Rabbit Blue
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衝動
ゴリ、と冷たい銃口が首筋に当てられる。
背後から抱き締められるような形で当てられたソレを避ける術はない。
引き金にかかる指に力が込められたら、いくら傷の治りが早いとはいえ、致命的だろう。
銃口を向けられたのは二度目。
前はまだ迷いがあった。だが、今はそれがない。
今朝まではいつも通りであった。
一体この態度の変化はなんだ。
燐は何か怒らせるようなことをしただろうか、と必死に今日の行動を思い返すが、心当たりが全くない。
「ゆ、きお…?」
声を掛けるが、特に返事はない。
身体に回されていた左手が、そっと燐のネクタイをほどく。
雪男の行動が理解できずに、身をよじらせると、耳を甘噛みされた。
「動かないで」
ねっとりと耳に舌を這わされ、ぞくりと身体が震える。
こんな雪男は知らない。
何が雪男をこうさせるのか。良く知ったはずの弟の知らない一面。
力だけならば自分の方が強い。その気になれば、制服を徐々に脱がす雪男の腕から抜け出すことだって出来る。
だが、 それをする気にはならなかった。
今ここで雪男から離れてはいけない気がするのだ。
はだけられた胸元に指が這う。
抱き締めてやりたいのに、抱き締めてやれないのがもどかしい。
身体を動かす。
ぐっ、と首筋に当てられた銃口に力が加わった。
「撃たれたいの」
「まさか」
答えながら、振り向き、肩口に顔を埋めていた雪男のこめかみに口付ける。
驚いたのか、雪男の腕が緩んだその隙に身体を反転させ、雪男をぎゅっと抱き締めた。