Rabbit Blue

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知らない話は知らない




「でな、志摩のヤツ――」

 先程から続く話は、終わる気配を見せない。
 兄さんに友人が出来るのはいいことだと思っていた。
 小学校も中学校もほとんどサボっていたような兄さんはクラスから孤立していた。兄さん自体、人と距離を置いていたようにも思う。
 今のクラスでも友人と呼べる人物はいないようなので、祓魔塾で出来た仲間――いや、友人なのだろうか――との出来事が新鮮なのだろう。
 いろいろ報告したくなるのかもしれないが、正直そろそろやめて欲しい。
 こんなにも自分の心が狭かったなんて思いもしなかった。

 兄さんに友人が出来て嬉しく思う反面、兄さんの口から他の人の名前が出るのが嫌だなんて。
 はぁ、と思わず溜め息をつけば、兄さんがなんだよ、と不機嫌そうに唇を尖らせた。
「あぁ、別に兄さんの口ばっかり動いて課題が進んでないのなんて、気にしてないよ」
「……気にしてんじゃねぇかよ……」
 ニコリと笑みを浮かべれば、兄さんの顔が少しひきつる。
「だから、気にしてないって。まぁ、その課題が終わらなかったら、罰として増やすことになるかもしれないけどね」
「鬼! 悪魔!」
「はいはい、悔しかったら早く終わらせればいいんだよ」
 ちくしょー、と言いながら真面目に課題に取り組み始めた兄さんに、ふっと表情を緩めて、僕も自分の勉強に取りかかった。







 お題配布元:Fascinating 独占衝動五題ヨリ







「聞いてくれよ、雪男のヤツな――」
「また奥村せんせーの話? 奥村くんはほんませんせーのこと好きやなぁ」
「ち、ちげぇし!」
「はは、顔真っ赤やで」
「うるせぇっ!」