Rabbit Blue

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眠れぬ夜




 雪男、と掴んできた手が異様に冷たかった。
 僕に心配かけないように、と普段通り装っていたが、それも限界なんだろう。
 夜もほとんど寝れていない事を知っている。
 そんな兄さんに、僕が出来ることといえば、兄さんと一緒にいることだけだ。
「兄さん、一緒に寝ようか」
「は?」
「寝れないんでしょう? 小さい頃、寝つけなかった僕に、一緒に寝るのが一番 だって、教えてくれたのは兄さんじゃないか」
 ニコリと笑みを浮かべれば、兄さんは言葉を濁す。
「たまにはいいじゃない、童心にかえるのも」
「ゆ、雪男がどうしてもって言うなら寝てやらんこともない。けど、蹴りおとさ れても文句言うなよっ」
 顔を赤く染めながら、そう告げる兄さんは本当に素直じゃない。


 狭いベッドに二人で入り、狭いから、と言い訳をしながら兄さんを抱き締める。
 最初は抵抗していたが、離さずにいれば兄さんは大人しくなり、そのうち静かに 寝息をたて始めた。

 眠る兄さんにキスを落とす。
 ゆきお、と小さく呟かれた名前にふっと口元が緩んだ。

 もしも、自分が先に生まれていたら、兄さんは僕を頼ってくれていただろうか。
 ――いや、きっと全部一人で解決しようとするのだろう。


「もっと、頼ってよ兄さん」


 願わくは、夢のなかだけでも兄さんが穏やかでいられますように。








 ※ベッドに入って、抱き締めた辺りのやりとり

「なぁ、雪男」
「なに」
「その、あたってる」
「あぁ、生理現象だから気にしないで」
「無茶言うな…!」
「いいから、大人しく寝ないと、寝かせないよ」
「……っ! このエロメガネ!」