Rabbit Blue
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罰と称して見たいだけ
「いい加減兄さんには罰が必要なのかな」
くい、と眼鏡を押し上げ、告げられた言葉に、燐はびくりと身体を揺らす。
「罰、だと……」
振り返り、背後で勉強を見ていた雪男を見上げた。
椅子に座っている燐からは雪男の表情がよく見えない。そのことが燐の不安を煽る。
「そう。その方が勉強にも身が入るでしょう?」
自分のスペースの方に移動する雪男を視線で追いかける。
「今から十分後に小テストをする。それで、正解が半分以下だったらコレ、着てもらうから」
ゴソゴソと紙袋から取り出された制服一式に、燐は思わずドン引いた。
雪男が取り出した制服は、燐にも馴染みがある聖十字学園の制服だ。問題なのはソレが、女子生徒用だということである。
「……お前にそんな趣味があったなんて、兄ちゃん悲しいぞ……」
数年前まで兄さん兄さん可愛かったのに、なんでそんな風に育っちゃったんだ、と思わず昔を懐かしむ。
「嫌がることをしなきゃ罰にならないでしょ? さぁ、テスト範囲は今日の授業の復習だよ。がんばって、兄さん」
ニコリと微笑む雪男に言い知れぬものを感じ取った燐は、大人しく教科書に視線を戻した。
そして数十分後。
いつになく静かな部屋の中は、予告通り行われた小テストの答え合わせをするペンの音だけが響いていた。
今日はちょっと自信があるぞ!と燐は尻尾を揺らしながら、雪男が答え合わせし終えるのを待つ。
暫くして、ペンが止まり、雪男が机から顔を上げた。
「残念、兄さん。漢字が間違ってたよ」
それがなければセーフだったのにね、と持ち上げられた回答用紙に燐はがくりと肩を落とす。
「じゃあ、約束どおり、コレを着てもらおうかな」
「ちょ、待て! 俺は着るなんて言ってねぇぞ!」
「でも罰は罰だから着替えてもらうよ」
逃げ出そうとした燐を捕まえ、雪男は問答無用で燐の着ている服を脱がし始めるのだった。
「この変態眼鏡っ!」
終わる。