Rabbit Blue

design::sein


崩壊する世界




 貫かれる身体。
 流れる鮮血は赤。
 地に倒れ伏す身体。
 ごめんな、と唇が動く。
 もっと早くに死ぬべきだったんだ、と。


 恐怖が去った、と人々は騒ぎ立てた。忌むべき悪魔はいなくなった、と喜んだ。
 そんな彼らの方がよほどの悪魔だと思う。
 優しいことの為に力を使いたいと言った。
 どこまでも優しい人だった。
 いつも、他人のことを優先して、すべてをひとりで背負おうとするような、優しい人だったのに。
 守りたかった。守れなかった。
 唯一の家族。
 ただ一人の片割れ。
 喜ぶ彼らが憎かった。
 ざわりと肌が粟立つ。
 じわりじわりと足元から闇に侵食される。
 もう守りたかった人はいない。

 心が崩れる。
 なにもかもどうでもよかった。

 この世界がどうなろうとも興味はない。

 消えてしまえばいい。

 ゆらりと、自分の中で青い炎が揺らめいた。