Rabbit Blue

design::sein


プレゼントは…




「志摩くん、今日誕生日ですよね? おめでとうございます」
「知ってはったんですか?」
「ええ、教員なので。それで、一応プレゼントを用意してみたんです。気にいるかどうかわかりませんけど、僕の――」
 そこで一度言葉を止め、少し照れくさそうにする雪男に、廉造は首を傾げる。

「――お手製問題集です」

 そっと差し出されたクリップファイルに、廉造はガクリと肩を落とした。
「センセ、それはないですわ……」
「志摩くんの苦手分野をまとめてみたので、役には立つと思いますよ」
「………わざわざアリガトウゴザイマス……」
「それとも、僕がプレゼント、って言った方が良かったですか?」
「へ……?」
 雪男の口から予想もしない言葉に、廉造は間抜けた声を出す。
 そんな廉造に雪男は苦笑を浮かべると、ちゅ、と触れるだけのキスを廉造の鼻の頭に落とした。
「今夜、兄さんがごちそう作る、って張り切ってたんで、良かったら勝呂くんたちも誘って寮の方にいらしてください」
 にこりと笑って、では、と立ち去る雪男の背を廉造はただ呆然と見送るのだった。